闇に吠える

 言葉が出てこない。朝。何かの音。煩わしい夜。寒さ。家族。お金は無し。友だちも無し。いろいろな問題。後回し、寒さのせいで、お金が無いせいで。他人とあまりに違うこと。けれども同じ価値観だと勘違いすること。私はいま、多様性を求めている。マイノリティが生きやすい世の中を。自分がどちらなのかはわからない。ただ、今とても生きにくいのは確かだ。今に始まったことじゃないけれど、苦しくて、喘いでいる。父親はこんなとき、いつもヤケを起こしていたことに、いま気づかされる。状況を打開するために無理をして他人と揉め事を起こし、無駄なお金を使って、それでも上手くいかず結局はツケがまたたまる。彼の気持ちはよくわかる。 ただ世の中が嫌だったんだろう。

 一方で、私は逆に何もせず、我慢して、好機を待っている。悪いこともやがては過ぎ去って、良い時はやってくる、いまはジタバタしても始まらない、下手に動かないことだ。動くとやられる。 これが正しいかどうかなんて、誰も知らない。

 ところで、私は同じ匂いがする人間とまるで巡り会わないのが不思議だ。