生存競争

 つくづく感じる。私はあらゆるものに勝負を挑み続け、そして敗北してきたことを。そもそも勝負などにならなかった。ただ敗北感だけを味わって、逃げて帰って来ただけである。世の中は少し能力のある奴らが少しいい思いをして、さらに能力と、能力はなくても力(金)のある奴らに使われている。両者は互いにその事を分かっていて、お互いの領分には踏み込まないし、それが一番都合のいい事だと、生まれながらに知っている。ということを、私はやっと知った。俺たちがどうあがこうと、何をほざこうと、たがが知れている。なんの能力もない人間は、黙って、もっともらしいガス抜きさえやっていればいい、そんなこと生まれながらみんな知っている。ということも、私はやっと知った。だからこそ彼らはとてもいい感じで生きている。悩みがあるとすればお金のこととお互いの浮気のこと、あと少しは自分の子供のこと。しかし私にはそれらを知ったところでどうしようもない。どちらの人生も選べないからだ。もう誰の話も聞かない。どんな生き方も見習わない。自分が優れていない人間でも何かを止めるわけにはいかない。生存競争の隅っこで生きるためには、なるべく目立たないことだ。

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