凸凹


 知りあいが亡くなり、上京。久しぶりに会う人もいる。亡くなったのはかつての恋人の母親。彼女たちがいなかったら、今頃自分はどうなっていただろう?橋の下で寝ていたかも知れない。それぐらいいろんな意味でお世話になった人たちではある。

 そんな人がおそらくどんな人の人生にもいるだろう、と思う。今の自分があるのはあの人のおかげだと。確かにその通り。だが、その人たちと出会わなかった人生も確かに存在する。何故かわからないけれど、確信を持ってそう言える。そしてその人たちと出会わなかった人生の方が良かったかもしれない。

 可能性はあるが、やはりこれもある確信を持って言えることだけど、たいして違わないだろう、と。人間は惹かれ合うものだ。自分と同じような人間を求めて。あるいは凸と凹をお互いに埋め合えるような人間を求めて。だから結局は同じような人間を求めて、その人とくっつき、同じような人生を送っている。それでも懸命に、何かを求めて生きるだろう。

 それについて、どう思う?  どうでもいい、そうだね。