目先

 20年ぶりに若者たちの街へ。

 あのときと何も変わらない。外見は変わっても中身は同じ。焼き回し。二束三文の品物を大した値段で売っている。若くない私はもう騙されることはないだろう。しかし別の誰かが騙される。誰かを騙さないと成り立たない商売。ただそれだけ。若者たちはそこに夢を求めてやってくるけれど、もはやそこには何もない。美しいものは同じ場所かもしれないが、たぶん別のところにある。同じ場所の違うところ。

 これ以上は、言わない。